材料加工

レーザ光線の照射によって、加工された領域の構造が変化した材料にエネルギーが吸収されるとき、物質の改変が起こります。

ロングパルス(ナノ秒)レーザ加工では、比較的長時間にわたってエネルギーが蓄積され、材料の中に熱が伝わって熱応力による飛び散りや溶解材料の再凝固、退色、亀裂、およびボイドなどの望ましくない影響が生じます。「熱影響領域」(HAZ)の大きさによって、作製可能な最小加工サイズが限定されます。
超短パルスレーザ加工では、レーザパルスの持続時間は、初期入射光が電子によって吸収されるときにエネルギーがレーザ相互作用容積の周囲領域に移行する、あるいは、電子から原子に移行するために必要な時間より短くなります。これによってHAZは最小になり、材料加工の精度は最大になります。

フェムト秒レーザ加工のもう一つの重要な利点は、ピーク出力が非常に高く、透明材料のバルク内で非線形吸収が可能になることです。
非線形吸収のため、材料修正領域をレーザ焦点の周囲領域に限定することができます。焦点の上または下で吸収されるエネルギーはいずれも一般に材料修正閾値以下になり、損傷を生じません。
これによって光学的に透明な材料内での新規の3次元パターン化が可能になります。より長いパルス(材料に応じて数ピコ秒より長い)については、ピーク出力は相対的に低いので、レーザ焦点の強度は材料修正の十分な非線形吸収を生じるために十分ではありません。
従って、何らかの材料変化を生じるために、線形吸収が優勢になる高い平均出力が必要で、その結果、焦点および周囲の材料の両方において過度の熱損傷が起こります。

IMRAのFCPA µJewelフェムト秒ファイバーレーザは、堅牢な高信頼性ファイバベースパッケージにより超短パルス加工のメリットを提供します。その安定性と小型サイズに加えて、これらのレーザはより高速な加工のための高パルス繰り返し周波数(最大5 MHz)を有します。

材料加工のためのフェムト秒ファイバーレーザのメリット:

  • 最小熱影響領域(HAZ)
  • 非常に精細な高分解能微細加工が可能
  • 透明材料内部に対する加工または改質することが可能
  • 平均出力を低く維持しながら高繰り返し周波数による高速加工を実現

いくつかの種類の材料加工について以下に記載します。

アブレーション  |  透明材料  |  溶接  |  3Dレーザリソグラフィ  |  パルスレーザ堆積  |  ナノ粒子の生成

アブレーション


フェムト秒レーザ微細加工:
単結晶ダイヤモンドの20 μm径の孔

フェムト秒レーザパルスの高いピーク強度は、ダイヤモンドなどの高バンドギャップ材料を加工するために不可欠です。最も硬い材料でも、FCPA µJewelによって精密に加工することができます。

応用ノート:FCPA μJewelによるミクロ機械加工

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透明材料加工

フェムト秒レーザパルスの高いピーク強度は、ガラスや透明ポリマーなどの透明材料に非線形吸収を誘導することができます。透明材料の中の焦点で生じる吸収によって、材料修正による3D構造を作ることができます。材料修正フルエンス閾値は一般に確定的であり、集束点サイズよりも小さな加工をすることができます。

 

 

 

直接描画


フェムト秒レーザ直接描画と、その後のHFエッチングに
よって作られたナノ水族館内のフォルミディウム細菌滑走。
使用許可取得済

特定の光学材料において、フェムト秒レーザによる加工はレーザ焦点において屈折率を変化させます。これを利用して、材料のバルクの中に光導波路や回折光学素子を作ることができます。右の例では、IMRAのフェムト秒ファイバーレーザを用いて、微生物の動きを研究するためのナノ水族館を作りました。

 

バルク内部選択的レーザエッチング

フェムト秒レーザによって改質された領域は、材料のバルクと異なる化学的および機械的特性を持っています。一部の物質については、修正された材料は非修正材料と比べてエッチング剤に非常に反応しやすくなります。バルク内部選択的レーザエッチング(ISLE)と呼ばれるこの方法は、ドイツのアーヘンにあるIMRAのプレミア応用ラボで開発されたもので、きわめて高いアスペクト比の切断を行うために利用できます。

透明材料加工に関する論文

レーザモデル
タイトル
D-400 2011 3D microfluidic chips with intergrated functional microelements fabricated by a femtosecond laser for studying the gliding mechanism of cyanobacteria
D-400 2012 A 3D mammalian cell separator biochip
D-400 2012 Femtosecond laser fabrication of phase-shifted Bragg grating waveguides in fused Silica
D-400 2012 Ultrafast laser inscription of a 121-waveguide fan-out for astrophotonics
D-1000 2008 Micro- and nanostructures inside Sapphire by fs-laser irradiation and selective etching

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ガラスおよびプラスチック溶接


2枚のガラス間接合面のフェムト秒レーザ溶接部断面。ガラスの表面を損傷することなく完全封着が形成されます。

フェムト秒レーザパルスによって可能になるもう一つの重要な技術が、ガラスやポリマーなどの透明材料の溶接です。溶接される2つの材料の接合面にレーザ光を集束させます。非線形吸収のため、レーザ焦点の周囲領域だけが溶解して溶着部を作ります。単一レーザパルスによって材料に堆積される熱は最小限であっても、高速オーバーラッピングパルスを使用して蓄熱によるレーザ焦点における高精度の熱効果を生じることができます。並進速度とパルス繰り返し周波数を変えることによって熱効果を精密に制御することができます。

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3Dレーザリソグラフィ


2光子重合によって作られた3次元構造。
使用許可取得済

2光子重合としても知られています。この方法用に特別に作られた材料の、2光子吸収を介した光吸収によって、結合および硬化が生じます。厳密な集束作用によって、波長とほぼ同じ大きさ(<1ミクロン)のレーザ焦点だけに必要な高強度が存在します。焦点を走査させることによって、3D構造を非常に精密な解像度で作ることができます。

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パルスレーザ堆積法


ナノ秒PLD法(左)とフェムト秒PLD法(右)によって作られたFeSi2フィルムの比較

フェムト秒レーザ独特のアブレーション法を用いて均一なコーティングをすることができます。高い繰り返し周波数で、フェムト秒レーザは、アブレーションされた材料のドロップレットフリープラズマを作り、それが基板上に堆積されて均一の薄膜を形成します。

応用ノート:フェムト秒パルスレーザ堆積法

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ナノ粒子の生成


フェムト秒ファイバーレーザアブレーションに
よって直接液体中に生成された
ナノ粒子のTEM画像。平均粒径<40nm[/caption]

フェムト秒レーザアブレーションによって数十ナノメートル(nm)の寸法のナノ粒子を直接溶液の中に作ることができます。ナノ材料の特性は、レーザおよび加工のパラメータによって制御することができます。IMRAは界面活性剤やその他添加剤を使用せずに溶液中でナノ粒子を生成する技術を開発してきました(プレスリリースを参照ください)。清浄で汚染のない表面によって、異なる分子を粒子表面に結合させて生物活性ナノ粒子を作ることができます。詳細情報につきましてはお問い合わせください。

 

 

 

 

 

重要なナノ粒子生成に関する論文

タイトル
2011 Highly efficient and controllable PEGylation of Gold nanoparticles prepared by femtosecond laser ablation in water
2012 Stable Gold nanocolloids with controllable surface modification and functionalization

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