フェムト秒レーザの超短のパルス時間幅やピーク強度は、通常は光が吸収されない透明材料などや、あらゆる材料を加工することができます。 これらの材料には、ガラス、ダイヤモンド、サファイア、ポリマー、及びコーティングも含まれます。 フェムト秒レーザパルスは、金属、不透明ポリマー、半導体などの光吸収材料の加工にも理想的です。 どちらの場合も、最小限のHAZ(熱影響部)でアブレーションが起こり、後処理を必要とせずに綺麗な切断エッジを生成することができます。 下の例で示すように、FCPA DE及びDXシリーズレーザーで、高精度の微細加工部品を製作することが可能です。

上図:熱影響領域図; 下図:FCPAによるステンレス鋼の直径50μmの穴の微細加工

材料とのレーザ相互作用における力学では、レーザ光から材料へのエネルギーの移動時間に影響を受けます。ほとんどの場合、まず電子が光からエネルギーを吸収して励起されます。 次に、そのエネルギーは電子から原子または分子に伝達されます。 この伝達に必要な時間はフォノン放出時間で表されます。 電子とフォノンが熱平衡にあるとき、その状態は単一温度で表され、熱化されていると言います。

これは、熱化されていると呼ばれます。 実際には、相互作用するレーザおよび材料のパラメータの詳細に応じて、高温/低温および熱/非熱領域が共存します。

レーザによる材料加工で重要なのは、材料に吸収されたエネルギーの内のどの程度がアブレーションに使われるかです。

それを知るには、(間接的ですが)、熱に替わってしまったエネルギー量を計測することが有効です。そのエネルギー量は、通常、熱影響領域(HAZ)で表されます。

上図に示すように、HAZが大きい場合、デブリ、キャスト、その他望ましくない不要物を生成することにつながります。

近年の精密部品の加工品質を満たすには、HAZをなくすか最小限に抑える加工方法が必要とされてきています。

フェムト秒レーザパルスの高いピーク強度は、ガラスまたは透明ポリマーのような透明材料において非線形吸収を誘発します。 透明材料の内部の焦点で生じる吸収は、材料の改質による3D構造の生成を可能にします。光強度がフルーエンス閾値を越える領域に限定して材料が改質される特性を利用して、集光スポットサイズよりも小さな形状を加工することができます。

フェムト秒レーザ直接描画と、その後のHFエッチングによって作られたナノ水族館内のフォルミディウム細菌滑走。 使用許可取得済

直接描画

特定の光学材料では、フェムト秒レーザによる加工は、レーザ焦点における屈折率の変化を引き起こします。 この変化は、材料のバルク内部に光導波路及び回折光学素子を形成することができます。 右にある事例では、IMRAのフェムト秒ファイバレーザを使用して、微生物の動きを研究するためのナノ水槽を作りました。

バルク内部選択的レーザエッチング

フェムト秒レーザによって改質された領域は、材料のバルクと異なる化学的および機械的特性を持っています。一部の物質については、修正された材料は非修正材料と比べてエッチング剤に非常に反応しやすくなります。バルク内部選択的レーザエッチング(ISLE)と呼ばれるこの方法は、ドイツのアーヘンにあるIMRAのプレミア応用ラボで開発されたもので、きわめて高いアスペクト比の切断を行うために利用できます。

2枚のガラス間接合面のフェムト秒レーザ溶接部断面。
ガラスの表面を損傷することなく完全封着が形成されます

フェムト秒レーザパルスによって可能になるもう一つの重要な技術が、ガラスやポリマーなどの透明材料の溶接です。溶接される2つの材料の接合面にレーザ光を集束させます。非線形吸収のため、レーザ焦点の周囲領域だけが溶解して溶着部を作ります。単一レーザパルスによって材料に堆積される熱は最小限であっても、高速オーバーラッピングパルスを使用して蓄熱によるレーザ焦点における高精度の熱効果を生じることができます。並進速度とパルス繰り返し周波数を変えることによって熱効果を精密に制御することができます。

2光子重合としても知られています。 2光子吸収を介して特定の材料の光吸収が結合および硬化を引き起こします。密集した焦点合わせでは、要求される高強度は、波長(約1ミクロン未満)程度のレーザ焦点にのみ存在する。焦点を走査させることによって、3D構造を非常に精密な解像度で作ることができます。

ナノ秒PLD(左図)とFCPAフェムト秒PLD(右図)によるFeSi2フィルムの比較

高繰返し周波数、可変パルスエネルギー、及び超短パルスの組み合わせで、PLDプロセスを調整し優れたフィルム品質を作り出します。 その一例として、ドロップレットフリーコーティングを作り出します。 従来のナノ秒パルスレーザは、アブレーションプラズマ中に大きな液滴を生成することが多く、不均一なコーティングになります。FCPAは、その超短パルス性により、液滴フリーのプラズマを生成する低温アブレーションに最適であり、かつ、その高繰り返し性により、高速の蒸着スピードを可能にします。

上図は、ナノ秒とFCPA PLDフィルムとの形状の比較になります。

液体中で直接FCPAレーザアブレーションで生成されたナノ粒子のTEM画像。 平均粒子サイズ<40nm

FCPAレーザアブレーションにより、数十ナノメートルの寸法のナノ粒子を液体溶媒中に直接生成することができます。 ナノ材料の特性は、レーザ及び加工パラメータを変えることによって制御することができます。 IMRAは、界面活性剤や添加剤を使用せずに、溶液中でナノ粒子を生成する技術を開発しました。 綺麗な表面では、異なる分子を粒子表面に結合させてバイオ活性ナノ粒子を生成することが可能になります。